19. にっかり青江

<金象嵌 羽柴五郎左衛門尉長重所持(名物:にっかり青江)>

・平安-南北朝時代

・備中青江派 作

・重美認定日 1940.09.27

丸亀市立資料館 所蔵

 

<作者>

南北朝期に活躍した中青江の貞次によって打たれた太刀といわれている。

 

<名前の由来>

にっかりと笑った女の幽霊を斬ったという逸話から名付けられた。

その前に女が抱いていた子供を斬り伏せたという謂れもある。

 

<来歴>

名の由来である幽霊を斬ったのは中島修理太夫、九理太夫兄弟、浅野長政の家臣など諸説あり特定には至っていない。

 

その武士から、柴田勝家に渡り子の勝敏へ伝わった。

1583年賤ヶ岳に戦いにて勝敏を討った丹羽長秀の子・長秀から豊臣秀吉に献上された。

:長秀の子・長重によって金象嵌が入れられた。

:秀吉も珍重したとされ、本阿弥光徳による押形が取られた。

 その時には既に60㎝に磨上げられ、金象嵌も「長/」で切れていた。

 

1614年大阪冬の陣にて、秀吉の子・秀頼から京極忠高に与えられた。

以降、讃岐丸亀藩主の京極家で受け継がれた。

丸亀城には幽霊が出るという噂があったが、本刀を持った京極家が来るとぴたりと怪異が止んだという。

 

1997年に国内を転々としていた所、丸亀市が購入し丸亀市立資料館に寄贈された。