75. 大般若長光

<太刀 銘:長光(号:大般若長光)>

・鎌倉-室町時代

備前長船長光

・重文指定日 1931.12.14

・国宝指定日 1951.06.09

東京国立博物館 所蔵

 

備前長船派の刀工で、光忠の子・長光によって打たれた太刀で

室町時代以来の大名物と謳われる長光の傑作である。

長光は、古刀期の最大勢力である備前長船の基礎を築いた人物とされ、

現存品も多いが、その人気に比例し偽物も多く打たれた。

 

室町時代に銭600貫(4800-6000万円)という破格の代付がされ、

全600巻ある「大般若経」にちなんで名付けられた。

 

元は足利将軍家にあり、第13代将軍・義輝より、

重臣三好長慶に下賜されたともあるが、長慶の子・義継が義輝を討ち取った

1565年に本刀を手に入れたという説もあり、特定には至っていない。

 

1569年以降に、第15代将軍義昭を支援し、三好一族を撃破した織田信長が所持し

1570年・姉川合戦での来援を謝して、徳川家康に贈られた。

1576年に長篠の戦功を讃え、奥平信昌へ下賜された。

 

その後、信昌の4男・忠明が譲り受けた。

(忠明の母が家康の長女であったため、養子として松平姓を与えられた。)

以降、明治時代まで武州忍藩松平家に伝来した。

 

1912年に同家を出て、山下汽船の山下亀三郎氏が入手し、

1923年の関東大震災にて刀身が曲がるも、吉川恒次郎氏によって直された。

 

1940年には皇紀2600年奉祝名宝日本刀展に出品され、伊藤巳代治伯爵が買い受けた。

巳代治氏の死後、東京国立博物館が買い上げた。

 

1951年に国宝第1号として、国宝指定された。