112. 膝丸

 

膝丸は源氏の重宝として伝わる太刀

<太刀 □忠>

鎌倉時代

・作者不明

・重文指定日 1923.03.28

・京都大覚寺 所蔵

 

源氏に伝わる名刀の1つで、試し斬りの際に罪人の膝まで斬ったことが名の由来。

大覚寺以前の来歴は不明だが、大覚寺は本刀を「銘刀:薄緑(膝丸)」と称している。

 

作者については、筑前正応、筑後光世、奥州文寿、宝寿など異説が多く特定には至っていない。

 

髭切と同じく膝丸は、「源平盛衰記」の「剣巻」にて出てくる説話である。

平安時代源満仲が天下守護の為に造らせた剣の1振である。

・満仲の子・頼光(清和源氏3代目)が土蜘蛛という人喰い妖怪を斬った為「蜘蛛切」と呼ばれた。

・頼光の弟・頼信(河内源氏の祖)の孫の孫・為義の代には、本刀が終夜、蛇が鳴くように吠えていたため「吼丸」と呼ばれた。

・為義は娘婿の熊野別当行範に贈られたが、行範は熊野権現に奉納した。

・1184年1月に熊野別当湛増より、木曽義仲を破り一の谷へ向かう源義経に贈られ、

義経が熊野の春の山から出てきた本刀を「薄緑」と名を改めた。

・頼朝と不仲の為に鎌倉に入れず、箱根権現に参拝した義経は、「兄弟の仲和らげしめ給へ」と祈願し本刀を奉納した。

・箱根別当より曽我兄弟に贈られ、1192年に工藤祐経を討ち仇を果たした兄弟より、源頼朝の手に渡ったとされている。