182. 古今伝授の太刀
<太刀 銘:豊後国行平作(号:古今伝授の太刀)>
・平安末期-鎌倉前期
・豊後国行平 作
・重文指定日 1934.01.30
・国宝指定日 1951.06.09
・永青文庫 所蔵
豊後の刀工・行平によって打たれた太刀
細川幽斎は足利将軍家、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康に仕え、武芸に通じた武将として活躍する一方で、有職故実、能、茶の湯などに関しても当代1の文化人として高い教養を示し「古今伝授」の継承者であった。
*「古今伝授」の継承とは、「古今和歌集」の語句の解釈の秘伝を特定の人物に伝えることで、三条西実枝から幽斎、智仁天皇、後水尾上皇へと伝えられ、朝廷での御所伝授として受け継がれた。
細川家以前の来歴は不明だが、1600年の関ヶ原の戦いの前哨戦として、
西軍に追い込まれた幽斎は籠城し2ヶ月耐えていたが、
「古今伝授」の断絶を恐れた朝廷が使いを送ったが幽斎は講和を拒否した。
だが、1603年に再び送られた勅使にて講和を受諾した幽斎は籠城をやめ、
身柄を丹羽亀山城に移し、弟子の5代目・烏丸光広に「古今伝授」を相伝した際に、
本刀も共に贈られた。
*烏丸光亨は、准大臣・烏丸光宣の長男の正二位大納言で、
当代の文化人とも多く交流を持ち、多才多芸の文化人として多くの逸話を持つ。
以降、藤原家の分流・烏丸家に伝来した。
1894年12月に光享より、藤原家末流の中山家25代目当主の次男・孝麿に譲られた。
1929.06.29の中山侯爵家の売立に出品され、11300圓で落札された。
その後、昭和初期頃に細川家16代目当主・護立により買い戻され、再び細川家の所有となった。