150. 日向正宗

<短刀 無銘:正宗(名物:日向正宗)>

・鎌倉末期

・相州正宗 作

・重美認定日 1935.08.03

・重文指定日 1941.07.03

・国宝指定日 1952.11.22

三井記念美術館 所蔵

享保名物帳

 

正宗の刀は最も多く国宝指定されているが、鎌倉幕府のお抱え刀工であったため

ほとんどが無銘刀だとされている。

 

宗三左文字と同じく、持ち主を転々としたため多くの名が存在する。

 

元は、豊臣秀吉の家臣であり、関ヶ原の役にて西軍に与し、

断絶した堅田広澄が所持しており、

後に、石田三成に譲られたため「堅田正宗」と呼ばれた。

 

その後、三成より妹婿(もしくは娘婿)の福島長堯に贈られた。

 

1600年・関ヶ原の役後、大垣城の主将であった長堯は水野日向守勝成の策略により

自害するに至り、勝成が本刀を分捕った。大垣城攻めの戦利品の為「大垣正宗」と呼ばれた。

 

詳細は不明だが、勝成は名物帳によると、借金のカタに紀州徳川家初代・頼宣に渡したとされている。

1652年12月に頼宣より、嗣子・光貞に贈られ、水野守日向勝成が所持していたため、紀州家で「日向正宗」と呼ばれるようになった。

以降、紀州徳川家に伝来した。

 

1927年に紀州徳川家の売立に出され、2678圓で三井男爵家に落札された。

 

1961年の「正宗とその一門」では三井八郎右衛門氏所持で出品された。