65. 蜻蛉切
<大笹穂槍 銘:藤原正真(号:蜻蛉切)>
・室町時代
・藤原正真 作
・佐野美術館 寄託(個人蔵)
三河文殊派(三河に移った村正一派)の藤原正真によって打たれた槍で、
天下三名槍の1つに数えられる。
「大笹穂槍」とは笹の葉のように鋭く腰が締まった重ね薄く造り込まれた直槍のこと。
戦場で飛んできた蜻蛉がこの槍にあたり、真っ二つに切れたという逸話が名の由来。
徳川家康の四天王である本多平八郎忠勝の愛槍として知られている。
1572年10月・遠州一言坂の戦いで退却する際、忠勝が本槍を掲げ殿軍を指揮したとされる。
1575年5月・長篠合戦の際、徳川本陣に突進した武田軍の内藤昌豊に忠勝が本槍で防戦した。
1582年6月・本能寺の変においても忠勝は本槍で軍を先導していたといわれている。
1601年に忠勝が伊勢桑名城主になった際、「道具は己の力に応じたものでなければならぬ」ということで、柄を3尺ほど切り詰めさせた。
以降、本多家に伝来するが、第2次世界大戦時に同家を離れ、
現在は沼津の矢部利雄氏が所有している。